リーン開発の本質

リーン開発の本質

リーン開発の本質

監訳者の平鍋さんから熱いメッセージつきでいただいた (著者割引で購入した) 本。
少し前に読み終わっていたけれど、感想を書くのが遅れてすみません。
ちょうど開発プロセスの策定のお仕事をいただいていて、「品質の作りこみ」とか「人の尊重」とかエッセンスを取り込めないかなぁと思ったんだけれど、まぁ表面的に一部を取り込むことはできたけれど、何か根本的なところが違うなぁ (違うのは本じゃなくてプロセスの方) と感じる今日この頃...
平鍋さんのあとがきの最後の言葉が心に突き刺さる。

私は、アジャイルとリーン (TPS) が日本のさまざまな組織に適用されていくことを願っているが、本書からの以下の引用によってひとつ警鐘を鳴らしたい。


リーン活動に乗り出す前に、「人について、何を本当に信じているか?」という問いに答えなくてはならない。プロセスにどのような態度で取り組んでいるか、考えてみよう。きちんとドキュメント化され、誰もが質問することなく従えるようなプロセスが、正しい道だと考えているのだろうか? それとも、プロセスを標準化するのは、その作業をする人に、疑問に思ったり変更したりするための土台を与えるためだろうか?
(中略)


多くの間違った標準化が、「人は本来怠け者でありしっかり働かせるために規則を作らなければならない」とか「人は交換可能である」というメンタリティから発している。もし、組織の文化や方針の中心にこのような考え方があると、もしくは多くの管理者がこのように考えている組織では、リーン活動は決して成功しない。そうではなく、「人の持つ工夫のモチベーションを活かす」こと、「一人ひとりの人を育てる」ことこそ、マネジメントの中心となるべきだ。「人」の要素はプロセスの中心である。ここを間違えてはならない。

ねぇ、みんなもっと楽しく仕事をしようよ。お客様もマネージャも開発者も、みんなひとつの仕事を成し遂げようとする仲間じゃない。メンバーをひとつの枠にはめるんじゃなくて、もちろんベースラインはあるけれど、創意工夫を引き出せるようなプロセスにしようよ。