IPA未踏成果報告会
休暇をとって丸一日参加してきました。
# 裏番組も少し気になったけど...
前日の台風も上がり、参加者もまずまずでホッとしました。
SELinuxによるPostgreSQLのアクセス制御強化
まず、日立ソフトの中村さんによるゲスト講演「SELinux チュートリアル」、続いて海外さんによる成果発表。
素の Linux は root 権限を乗っ取られてしまったらおしまい。SELinux (Security-Enhanced Linux) ではきめ細かなアクセス制御が可能。Linux カーネル 2.6 から標準搭載されている。
SELinux で利用可能なアクセス制御モデルは、TE (Type Enforcement)、RBAC (Role Based Access Control)、MLS (Mutli-Level Security)。
SE-PostgreSQL は、PostgreSQL に SELinux のセキュリティ機能を統合したもの。
このあたりの情報は今までウォッチしていませんでしたが、実案件で Linux を使用する場合は必要になる仕組みですね。アクセス制御モデルにもいくつかあるのも知りませんでした。勉強不足を痛感しました。(--;)
SE-PostgreSQL も概念はなんとなくわかった。1つ疑問点があったけれど、質問できず...
SELECT 文で「アクセス権がない行は単純に検索対象から外す」で良いのだろうか? 使用するアカウントによって検索件数が変わってしまうけど。
それから、デモで、ファイルのアクセス権がデータベースのアクセス権に引き継がれる部分が、いまひとつ理解できなかった。
Ruby用仮想マシンYARVの完成度向上
笹田さんの成果発表に続いて、Ruby コミュニティの面々 (楽天の森さん、永和の角谷さん、NaCl の後藤さん、CTC の小島さん、サンの下道さん) によるパネルディスカッション「Ruby 1.9 〜これからの Ruby〜」。
笹田さんのお話は Ruby 1.9 での変更点や開発の裏話など。理解できたかわからないけれど、もう少し技術的につっこんだ話があっても良かったかも。裏話はおもしろかったけれど、@IT で堂々と書かれちゃうのはどうかと。
パネルディスカッションは gdgd な感じ。まぁ、Java がすべて Ruby に置き換わるってわけではなく、使えるところで使っていくというのが結論かなと。
ウェアラブルコンピューティングのためのイベント駆動型ミドルウェア開発
神戸大の塚本先生のビデオ講演で寺田さんの成果発表を挟んだ形。
このあたりも普段あまりウォッチしていなかった領域。一般の人がコンピュータを着る社会がすぐに訪れるかわかりませんが、イベントや障害者支援では既に実用化されているとのこと。夢のあるお話でした。
寺田さんが今回開発されたのは、ウェアラブルなアプリケーションを容易に開発できるようにするためのミドルウェア。ウェアラブルには多種多様なデバイスがあり、ユーザによってサービスの形態も変えないといけないので、実はかなり大変。イベント駆動型と言っているのは、実際に体を動かしたり動作させて、そのパターンを記憶させる方法で開発を進めていきます。
数年後には子供たちがウェアラブルコンピュータを着て公園で遊んでいるかも。ウェアラブルは意外と健康的かもしれないとのことでした。
Web上で動作するモデリング環境 Kodougu の開発
オブジェクトの広場の山内くん、田中くんによる講演&寸劇「現場を助けるモデリング」を挟んで、広場OBの黒田くんの成果発表。
Kodougu の特長は、ブラウザで動作すること、Wiki などのウェブアプリケーションに組込み可能なこと、モデリング言語を独自に定義できることなど。
黒田くんのオフショアによるモデリングツール開発の経験が生きているなと感じました。アーキテクチャのセンスもなかなかいいと思います。
さらなる機能の洗練・充実とともに、利用方法の提案・フィードバックを繰り返していくことで、実案件で有効に使えるツールに成長しそうな予感がします。
Kodougu 目当てで来たという方もいらっしゃり、モデリングに対する期待もまだまだあるのだなと実感しました。
広場の2名による講演&寸劇は開発現場におけるモデリングの有効な適用方法をわかりやすく説明する内容でした。away でドン引きされたらどうしようかと少し心配でしたが杞憂だったようです。発表も堂々としていて好感が持てました。
パネルディスカッション「オープンソース・ソフトウェア開発の昼と夜」
千葉先生と未踏OBによるパネルディスカッション。
未踏OBの未踏前と未踏後、千葉先生の未踏に対する思い、OSSエコシステムのお話などが興味深かったです。
みなさん現場でいろいろと苦労はされているようですが、未踏をやって良かったという点では一致しているようでした。